「ピカソは本当に偉いのか?」を読んで学んだこと

8月の読書メモ4冊目。

学んだこと

絵画バブルの父

  • ボッティチェリやダ・ヴィンチ、ミケランジェロが活躍した15,6世紀には「芸術」という概念も「芸術家」という職業も存在しなかった。
  • 当時の絵画彫刻の制作は、今日の感覚でいえば「工事」に近いもので、値段も作品の大きさや使う材料によって計算されていた。
  • ピカソの成功の秘密は、19世紀後半に急成長した画商というビジネスの可能性を見抜き、自分の作品の市場評価の確立向上に活用したこと

破壊のための芸術

  • マネは「絵画の主題は歴史的な由緒を持つべきだ」という伝統を破壊して、近代都市風俗を描いた
  • モネは「絵画は丹念に仕上げるべし」という伝統を破壊して、即興的な筆づかいで刻々と変化する光の色彩を描いた
  • ドラクロワは「デッサンが主役で色彩は脇役であるべし」という絵画理論の基本を破壊して、色彩の喚起する「感覚」を描いた

人心操作のカリスマ

  • 画商がアトリエにやって来る前に、ピカソは決まってフランソワーズを画商に見立て、えんえんと想定問答を繰り返した。場合によってはピカソが画商の役を演じることもあり、考えられるやりとりをすべて予習してから本番の交渉に臨んだ

代表作「アヴィニョンの娘たち」の謎を読み解く

  • かつて絵画には、そこに描かれたものを通して人々になにごとかを伝達するという社会的なコミュニケーション手段としての機能が備わっていた
  • フランス革命が生んだ美術館という施設が、「美」を実用的な機能や具体的な意味とかけ離れたところで語る文化を作った。絵画や彫刻を用途から切り離して展示することで、純然たる「美」を鑑賞するための「芸術品」とした。
  • 以降、「美術館」に飾られることをゴールとして制作されるようになった美術品は、実用的な機能を完全に放棄することになる

現代芸術はなぜ暴力と非常識を賛美するのか

  • フランス革命で追放したはずの王侯貴族の代わってブルジョアが生まれたことに対する嫌悪感から、清貧の芸術家による破壊的な芸術が賞賛された

ピカソは本当に偉いのか?

  • 美術品の権威を美術館という設備にふさわしいか否かで判断する、美術感の是非による

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